法人を作ると、必ず節税の話が出てきます。保険、車、出張旅費、いろいろな手法が紹介されます。
私が最初に手をつけたのは、経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)でした。
事業を営む法人では、4年ほどかけて上限の800万円まで積み切りました。そして今年、不動産を保有している資産管理法人でも積立を始めています。
この記事では、掛金をどうやって決めたのか、出口をどう考えているのか、そしてなぜ民間の節税保険ではないのかを書きます。制度の解説ではなく、実際にやっていることの話です。
まず、800万円を積み切った話から
事業を営んでいる法人のほうでは、4年ほど前から加入しています。
掛金は月20万円。この制度の上限額です。そのまま積み続けて、総額800万円という積立の上限にすでに到達しました。
月20万円ということは、年間240万円。これが全額、損金として計上できます。4年間で800万円を経費にしながら、そのお金は消えずに積み上がっている状態です。
倒産防止共済の何がいいのか
制度の要点を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掛金の範囲 | 月5,000円 〜 20万円(5,000円単位) |
| 年間の上限 | 240万円 |
| 積立の上限 | 総額800万円 |
| 掛金の扱い | 全額を損金に算入できる |
| 解約したとき | 40ヶ月以上納めていれば全額戻る |
| 掛金の変更 | 増額・減額とも手続きひとつ |
使いやすさの核心は、掛金の幅の広さだと思っています。
月5,000円から20万円まで、5,000円刻みで自由に決められる。利益が出た年は多く、そうでない年は少なく。その年の着地に合わせて調整できる節税策は、そう多くありません。
そして40ヶ月以上納めていれば、解約したときに全額戻ってきます。掛け捨てではありません。
資産管理法人では、月5万円から始めました
不動産を保有している資産管理法人のほうは、今年から月5万円で始めています。
いきなり上限の20万円にしなかったのには、理由があります。
掛金は、利益から逆算して決めます
前期の決算を見ると、この法人の税引前当期純利益は約170万円でした。
単純に考えれば、この170万円に見合う掛金を積めば、利益を相殺できます。年間170万円なら、月14万円ちょっとです。
ただ、そうはしませんでした。
今期は次の物件の取得を進めており、諸費用などの支出が増える見込みだからです。そこに満額の掛金を重ねると、利益がマイナスに振れる可能性があります。
だから余裕をもって、月5万円(年60万円)に設定しました。足りなければ後から増額できますし、掛金を払えずに困るより、少なく始めて調整するほうが安全です。
不動産は「残る利益」が読めるから、逆算できる
この逆算ができるのは、不動産だからだと思っています。
普通の事業は売上が読めません。良い月も悪い月もあり、年間の着地は最後まで分からない。だから「いくら積めるか」の判断が難しくなります。
一方で家賃収入は、入居者がいれば毎月ほぼ同額が入ります。返済額も固定資産税も保険料も決まっている。年間でいくら残るかが、早い段階で計算できます。
読めるということは、逆算できるということです。資産管理法人と倒産防止共済の相性が良いのは、この一点に尽きます。
出口をどう考えているか
ここが、この制度を使ううえで一番大事な部分です。
解約したお金は、利益として計上されます
倒産防止共済は、解約したときに戻ってくるお金が益金(利益)になります。
つまり永久に税金が消えるわけではありません。課税を先送りしているだけです。何も考えずに解約すれば、その年に一気に利益が乗って、まとめて課税されます。
「節税になる」という説明だけを聞いて始めると、ここで失敗します。積むときより、崩すときのほうが難しい制度です。
私が想定している2つの出口
最終的には税理士と相談して決めますが、今のところ考えているのは2つです。
- 大規模修繕が発生する年
- 退職金を出す年
どちらも大きな支出が出る年です。解約で乗る利益と、その年の支出をぶつければ相殺できます。
特に1つ目は、不動産を持っている法人にとって現実的です。私は昨年、屋上防水工事に160万円を使いました。築年数が経った建物を持っていれば、こうした大型修繕は必ずどこかで発生します。
いつ大規模修繕が来るか分からない事業と違い、不動産は建物の状態からある程度予測できます。積むタイミングと崩すタイミングを、自分で設計できる。ここが相性のいい理由です。
なぜ民間の「節税保険」ではないのか
法人を作ると、節税を目的とした保険を必ず勧められます。
私は入っていません。正確に言えば、過去に入って、すぐ解約しました。その話は別記事に書きましたが、ここでは共済と比較した結論だけ書いておきます。
| 倒産防止共済 | 民間の節税保険 | |
|---|---|---|
| 掛金の損金算入 | 全額 | 一部のみのことが多い |
| 戻り | 40ヶ月で100% | ピーク時期が限定的 |
| 金額の変更 | いつでも増減可 | 基本的に固定 |
| 途中でやめた場合 | 40ヶ月未満なら減額される | 大きく元本割れする |
| 手数料 | なし | 保険会社の取り分がある |
そもそも、どちらも「課税の繰り延べ」である点は同じです。永久に税金が消える商品など存在しません。
同じ繰り延べなら、掛金が全額損金で、全額戻ってきて、金額をいつでも変えられて、手数料が抜かれないほうを選ぶ。比べるまでもないと思っています。
注意点
良いことばかり書いてきたので、注意点も挙げておきます。
- 40ヶ月未満で解約すると、戻る金額が減ります(12ヶ月未満だとゼロ)
- 積立の上限は800万円。それ以上は積めません
- 加入には一定の要件があります(事業を1年以上継続しているなど)
- 解約後の再加入について、取り扱いが変更されています
最後の点は特に重要です。制度は改正されるので、加入前も解約前も、必ず最新の条件を税理士に確認してください。
私自身、出口については税理士と相談したうえで決めるつもりです。積むのは簡単ですが、崩し方を間違えると意味がなくなります。
まとめ
- 事業法人では月20万円で4年、上限の800万円まで積み切った
- 資産管理法人は月5万円から。前期の税引前利益170万円と、今期の支出見込みから逆算して決めた
- 不動産は利益が読めるので、掛金の逆算がしやすい
- 解約金は益金になる。出口は大規模修繕か退職金の年を想定
- 民間の節税保険は使わない。同じ繰り延べなら条件の良いほうを選ぶだけ
法人の節税は、難しい手法から入る必要はないと思っています。まずこれを埋めてから、次を考える。それで十分です。
なお、この記事は私一人の実例であり、税制は改正されます。最適な形は法人の状況によって変わりますので、実際の判断は税理士にご相談ください。

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