2023年10月、私は初めての不動産投資で、6,700万円の一棟マンションを買いました。
区分マンションでも、中古の戸建てでもありません。最初の1棟が、いきなり築33年・重量鉄骨の一棟です。
この記事では、実際にいくら現金が必要だったのか、諸費用は何にいくらかかったのか、そして2年9ヶ月運用してみて何が想定と違ったのかを、すべて実額で書きます。
利回りや家賃の話はどこにでもありますが、「屋上防水に160万円かかった」という類の話は、あまり表に出てきません。そこも含めて出します。
なぜ区分ではなく、いきなり一棟だったのか
区分マンションも検討しました。区分は、手がかからないんです。
管理は管理組合がやってくれる。修繕積立金も毎月自動で積まれていく。そういう意味では、ストレスがなく安心です。
ただ、1戸あたりの手取りは月1〜2万円ほど。私の目標は「年間1,200万円の不労所得」でした。月に直すと100万円です。区分で積み上げるなら、単純計算で50戸以上必要になります。
一棟なら、1件で月15万円前後を狙えます。6棟で月90万円。同じゴールに、桁違いに少ない件数で届く。
もちろん1件あたりのリスクは大きくなります。安心を取るか、スピードを取るか。私は後者を選びました。
買う前に感じていた不安
不安は、やはり修繕でした。築33年です。
いつ何が壊れてもおかしくない築年数で、しかも一棟だと修繕費は全額こちらの負担です。区分のように積立金の仕組みもありません。
この不安は、2年後に的中します(後述します)。
「今は買い時じゃない」と言われました
不動産会社に勤めている知人には、はっきりこう言われました。
今は不動産価格が上がってるから、買い時じゃないよ
プロにそう言われると、さすがに迷います。ただ、こうも思いました。
いくら不動産会社のプロとはいえ、なぜ「今が最高値だ」と言い切れるのか。この先も上がり続けるのか、下がるのかは、誰にも分からないはずです。
そんなことを考えていたら、一生買えません。ある程度のリスクを負わないと、何も進まない。
結果から言うと、価格はその後さらに上がりました。あのとき買っていなければ、今の水準ではもう手が出ていません。
なお、この物件を見つけるまでには半年かかっています。探し方と、途中で判断基準を変えた経緯は別記事に書きました。
実際に買った物件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 価格 | 6,700万円(土地6,030万円+建物670万円) |
| 構造 | 重量鉄骨 |
| 築年数 | 築33年 |
| 戸数 | 15戸 |
| エリア | 関東 |
| 表面利回り | 約10.2% |
| 年間家賃収入 | 約683万円 |
表面利回り10.2%。都心の区分が4〜5%であることを考えると、高い部類です。ただし、この10.2%がそのまま手元に残るわけではありません。
いくら現金が必要だったのか
一番知りたいのはここだと思うので、実額を全部出します。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 物件価格 | 67,000,000円 |
| 仲介手数料 | 2,256,900円 |
| 登録免許税 | 681,300円 |
| 融資事務手数料 | 530,000円 |
| 不動産取得税(翌年6月に納付) | 856,500円 |
| 取得総額 | 約71,324,700円 |
物件価格のほかに、約430万円かかっています。
特に見落としやすいのが不動産取得税です。決済のときには請求が来ません。翌年の6月に、忘れた頃に856,500円の納付書が届きます。ここを資金計画に入れていないと、いきなり効きます。
そして融資5,300万円を引いた結果、自己資金は約1,832万円を投入しました。
融資はどうやって通したか
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 融資額 | 5,300万円 |
| 融資割合(LTV) | 約79% |
| 借入先 | 信用組合 |
| 返済期間 | 18年 |
| 当初金利 | 2.85% |
| 現在の金利 | 4.05% |
築33年で18年の融資が出た理由
これは意外に思われるかもしれません。
重量鉄骨の法定耐用年数は34年です。築33年なら、残りは1年。金融機関は「耐用年数 − 築年数」を融資期間の目安にすることが多いので、本来なら数年しか出ないはずの物件です。
それが18年出たのは、土地値だと思っています。
この物件は6,700万円のうち、土地が6,030万円。実に9割です。建物が古くても、担保としての評価は土地でほぼ取れる。だから建物の築年数が、融資期間の足を引っ張らなかった。
「築古は融資が出ない」とよく言われますが、正確には「土地値が乗っていない築古は出にくい」なのだと思います。
なぜ2割も頭金を入れたのか
自己資金1,832万円は、私が選んで入れた金額ではありません。「入れてください」と言われた金額です。
私は自分の法人の代表です。金融機関から見ると、ここが弱い。
サラリーマンの方であれば、勤務先と年収という分かりやすい信用があります。一方でオーナー経営者は、その事業がうまくいかなくなるリスクもセットで見られます。安定した給与所得者のほうが、評価しやすいわけです。
結果として、どこの金融機関に持ち込んでも「頭金は2割」でした。1行や2行の話ではなく、どこでもです。
これは買い増しを考えると、かなり厳しい制約になります。1棟あたり1,800万円を毎回投入していたら、5棟目に届く頃には何年経っているか分かりません。
サラリーマン投資家がフルローンで規模を伸ばしていくのを見ると、正直うらやましく思うこともあります。
なので今は、自分なりの強みを活かして、より高い融資割合を出してくれる金融機関を探している最中です。進展があれば、このブログで共有します。
一番の誤算は金利でした
購入時2.85%だった金利が、今は4.05%になっています。
変動金利なので当然あり得る話です。それでも通知が来たときは「やはりきたか」と思いました。次に頭に浮かんだのは「これで手取りがいくら減るのだろう」ということです。
1.2%の上昇は、5,300万円に対して年間60万円以上。月に直すと5万円。月15万円の手取りのうち、3分の1が金利の上昇だけで消える計算です。
なお、この物件は個人ではなく法人名義で購入しています。その判断の理由は、別の記事に書きました。
2年9ヶ月運用して、想定と違ったこと
良かった年:2024年
修繕らしい修繕がなかった年です。
年間手取りキャッシュフロー:約184万円(月15.3万円)
想定通りでした。この年だけを見れば「一棟は儲かる」と言えます。
厳しかった年:2025年
屋上防水工事に160万円かかりました。さらに室内リフォームで60万円。合わせて220万円の臨時支出です。
買う前に感じていた「築33年の修繕」という不安が、そのまま的中しました。
月15万円の利益は、160万円の修繕1回で1年分が消えます。
これが一棟の現実です。区分なら管理組合が修繕積立金として毎月徴収してくれますが、一棟は自分で積んでおくしかありません。誰も代わりに準備してくれません。
毎年、固定で出ていくもの
| 項目 | 年額 |
|---|---|
| 固定資産税 | 324,000円 |
| 火災保険 | 253,890円 |
合わせて年約58万円。月5万円弱が、家賃とは無関係に毎月出ていきます。
今の数字
大規模修繕がない「通常年」で、手取りは月15〜18万円。
これが2年9ヶ月回した実感です。
融資残高は、2026年7月時点で約4,672万円。当初5,300万円から、628万円ほど減りました。
目標の年間1,200万円には、まだ全然届いていません。今は2棟目を進めているところです。
これから一棟を検討する人へ
2年9ヶ月やってみて、最初に知っておきたかったことを3つ挙げます。
- 諸費用は物件価格の6〜7%見ておく(私の場合430万円)
- 不動産取得税は翌年に来る(86万円。忘れると効く)
- 修繕費を毎月積んでおく(屋上防水1回で年間利益が飛ぶ)
そのうえで言うと、私はこの選択を後悔していません。ただ「誰にでも勧められるか」と言われると、それは違うと思っています。
自己資金1,832万円を1件に集中させる判断ができるかどうか。ここが分かれ目です。
「買い時じゃない」は、いつでも言える
最後にひとつだけ。
この物件を買うとき、不動産会社の知人に「今は高いから買い時じゃない」と言われました。結果的に、価格はその後さらに上がりました。
実は、まったく同じことを株でも言われています。
私が米国株を始めた7年前、周りは口を揃えてこう言っていました。「今の米国株は高すぎる」「そのうち暴落が来る」「買い時じゃない」
7年経ちました。
「買い時じゃない」は、いつでも言えるんです。そして真面目に聞いていると、いつまで経っても買えません。
私は雑音を無視して買いました。それがあって、今があります。
ただし、これは私の結果論です。逆になっていた可能性も当然あります。私が言いたいのは「今すぐ買え」ということではありません。「買わない理由はいくらでも見つかる」という事実だけは、知っておいて損はない、ということです。
ちなみに、その米国株のほうで実際に何が起きたかは、別記事に書きました。

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