先日、自分の物件の収支をブログで公開するために、3年分の数字を並べ直しました。
そこで、集計表に計算ミスが見つかりました。
ズレは3年分で約1,587万円。私は自分の物件のキャッシュフローを、実際の何倍にも大きく見積もったまま過ごしていました。
しかもその集計表は、AIに作らせたものです。そして私は、それを検算していませんでした。
恥ずかしい話ですが、同じことをしている人は少なくないと思うので書きます。
3年間、通帳の残高で把握していました
まず、それまでどう管理していたかです。
通帳です。
毎月、管理会社から家賃が振り込まれる。ローンが引き落とされる。残高が増えていれば、まあ回っているのだろう。その程度の把握でした。
これで3年やってきて、特に困っていませんでした。実際、口座の残高は減っていません。
ただ、「この物件が1年でいくら生んでいるのか」を、正確には答えられませんでした。
通帳では、物件単体の収支は分かりません
理由は単純です。通帳には、物件以外の入出金も混ざっているからです。
そして修繕費のように、まとまった金額がときどき出ていく支出があります。通帳を見ていると「今月はなんか減ったな」で終わってしまう。年間でいくら使ったのかは、意識に残りません。
残高が減っていないことと、物件が儲かっていることは、別の話でした。
AIに3年分を集計させました
さすがにきちんと把握しようと思い、管理会社の月次報告と通帳のデータを渡して、AIに集計表を作ってもらいました。
出てきたのは、こういう表です。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| ① | 管理会社経由の家賃収入 |
| ② | 管理会社経由の経費(管理料・清掃・突発修繕など) |
| ③ | オーナー手取り(①−②) |
| ④ | ローン返済 |
| ⑤ | 固定資産税 |
| ⑥ | 火災保険 |
| ⑦ | 直接支払いの修繕費 |
| ⑧ | 手残りキャッシュフロー |
項目立てとしては、まったく妥当だと思います。私が見たかったものが、そのまま整理されていました。
そして⑧の欄には、毎年こういう数字が入っていました。
| 2024年 | 2025年 | 2026年(1-7月) | |
|---|---|---|---|
| ⑧ 手残り(表の表示) | 7,863,988 | 5,486,500 | 4,407,801 |
毎年500万〜780万円。「思ったより残っているな」と思いました。そしてそのまま信じました。
その集計に、計算ミスがありました
何が起きていたか
⑧の欄は、本来こう計算されるべきものです。
⑧ = ③ + ④ + ⑤ + ⑥ + ⑦
ところが実際に入っていた数字は、①から⑦までを全部合計したものでした。
ここが落とし穴です。③はすでに「①−②」の結果です。それなのに①と②も一緒に足してしまうと、③が二重に計上されます。
Excelで小計を含む範囲をそのまま合計してしまう、よくあるミスです。人間がやっても起きますし、実際に起きていました。
3年分で1,587万円のズレ
| 2024年 | 2025年 | 2026年(1-7月) | 合計 | |
|---|---|---|---|---|
| 表の表示 | 7,863,988 | 5,486,500 | 4,407,801 | 17,758,289 |
| 正しい値 | 1,841,039 | −601,441 | 644,512 | 1,884,110 |
| ズレ | 6,022,949 | 6,087,941 | 3,763,289 | 15,874,179 |
約1,587万円。
そして、この修正で最も重いのはここです。
2025年は、実際にはマイナス60万円でした。表の上では「549万円の黒字」でしたが、実際は60万円の持ち出しだったということです。
黒字だと思っていた年が、赤字だった。ここが一番こたえました。
見えていなかった支出が、もう一つありました
計算ミスとは別に、そもそも把握から抜けていたものがあります。
管理会社を通さずに、自分で業者に直接払った修繕費です。
| 時期 | 内容 | 金額 |
|---|---|---|
| 2025/07 | 屋上防水工事 | 1,600,000 |
| 2025/08 | 内装リフォーム(2室) | 600,000 |
| 2026/05 | 外壁のクラック補修 | 245,000 |
| 2026/06 | 漏水の修繕・設備工事 | 245,740 |
| 2026/06 | トイレ天井の汚水漏れ復旧 | 57,640 |
| 2026/07 | トイレ天井・クロス張替 | 51,700 |
| 合計 | 2,800,080 |
2年で280万円です。
管理会社の月次報告書には、この支出は一切出てきません。報告書だけを見ていると、毎月きちんと黒字なのに、なぜか口座の増え方が鈍いという状態になります。
大きな工事ほど、管理会社を通さず自分で業者を探します。安くなるからです。ところが安くするために自分で動いた結果、その支出が管理の外に出てしまう。皮肉な構造でした。
気づいたきっかけは、ブログでした
ここが、自分でも意外だった部分です。
間違いに気づいたのは、ブログに月次収支を公開しようとして、数字を並べ直したときでした。
人に見せる前提で数字を扱うと、態度が変わります。「この数字、どうやって出したんだっけ」と確認するようになる。表の縦の合計が横の合計と合うか、見るようになる。
自分だけが見ている数字は、検算されません。
3年間、誰にも見せずに持っていた数字が間違っていて、公開しようとした瞬間に見つかった。発信することの効用は、まずここにありました。
私が間違えたのは3つです
① 通帳だけで把握しようとした
通帳の残高は「会社全体のお金の動き」であって、「この物件の成績」ではありません。
物件単体の収支は、物件単位で集計しないと出てきません。当たり前のことですが、残高が減っていないと安心してしまい、そこまでやっていませんでした。
② AIの出力を検算しなかった
これが最大の反省です。
AIに集計してもらうこと自体は、いい判断だったと思っています。項目の立て方は妥当でしたし、月次データを整理する作業を自分でやったら何時間もかかります。
問題は、出てきた表をそのまま信じたことです。
表が整っていると、正しく見えます。項目が並んでいて、単位が揃っていて、合計欄がある。体裁が整っているほど、疑いにくくなる。
今回のミスは、電卓で足せば1分で見つかるものでした。それをやっていなかった。これはAIの問題ではなく、私の問題です。人が作った表でも、同じことが起きていたはずです。
教訓としては単純で、合計欄は自分で1回足す。それだけです。
③ 「なんとなく黒字」で3年過ごした
結局はここに尽きます。
口座が減っていない。家賃は毎月入っている。だから大丈夫だろう。この「だろう」で3年過ごしました。
年に一度でも、物件単位で1年分を集計していれば、もっと早く気づけたはずです。
2棟目の計画を見直します
この修正には、実務的な影響があります。
私は今、2棟目の取得を進めています。その原資は、1棟目が生むキャッシュフローと、手元資金です。
ところが、その1棟目の実力が
- 思っていた金額 : 毎年500万〜780万円
- 実際 : 良い年で184万円、悪い年はマイナス
だったわけです。頭金と諸費用の原資が、想定より不足します。
取りうる選択肢は2つです。
- 時期を後ろにずらす — 資金が貯まるまで待つ
- 購入額を下げる — 必要な自己資金が小さい物件にする
私はオーナー経営者なので、どこの金融機関でも頭金2割を求められます。1棟目と同じ規模を狙うなら、1,800万円前後の現金が必要です。年184万円のペースでは、そう簡単には貯まりません。
間違った数字のまま進んでいたら、資金が足りないことに決済間際で気づくところでした。そう考えると、今の段階で見つかってよかったと思っています。
同じことをしないために
これから物件を持つ方、すでに持っている方に、3つだけ。
- 通帳の残高で判断しない。物件単位で、1年分を集計する
- 管理会社を通さない支出を、別に記録する。報告書には出てこない
- 合計欄は自分で1回足す。AIでも人でも、作った人以外が検算する
特に3つ目です。小計を含む範囲を合計してしまうミスは、Excelで最もよく起きるものの一つだと思います。私の表も、まさにそれでした。
まとめ
- AIに作らせた集計表に、小計の二重計上があった
- 3年分で約1,587万円のズレ。黒字だと思っていた2025年は、実際はマイナス60万円
- 加えて、管理会社を通さない直接支払いの修繕280万円が把握から抜けていた
- 3年間、通帳の残高だけで「なんとなく黒字」と思っていた
- 気づいたのは、ブログに公開しようとして数字を並べ直したとき
- 2棟目は、時期をずらすか、規模を下げるかの見直しが必要になった
数字を持っていることと、把握していることは違いました。
そして、人に見せるつもりで数字を扱うと、精度が上がります。ブログを始めて一番よかったのは、今のところこれかもしれません。
この計算ミスは、その後の融資の場面で具体的な形で返ってきました。銀行に追加融資を断られた話は別記事にまとめています。
この記事は私一人の実例です。実際の収支管理は、税理士等の専門家に相談しながら行ってください。

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